令和6年度 下期 電力 問14
電線に使う銅の性質(導電率・%IACS・電気銅・軟銅線と硬銅線)(誤りを1つ選ぶ)

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 令和6年度 下期 第三種電気主任技術者試験 電力科目 問題(問題文・選択肢は改変せず、公開PDFの該当ページをそのまま掲載しています)
解説
電線の材料としての銅の基本を問う問題。軟銅線と硬銅線の違いが鍵になる。
(4)が誤り。軟銅線は、硬銅線を焼きなまして(加熱してからゆっくり冷まして)つくる。焼きなますと、引き抜き加工で乱れた結晶が整うので、柔らかく曲げやすくなり(可とう性がよくなり)、導電率は高くなる。記述は「導電率は低くなる」としているので誤り。標準軟銅の導電率を100%とすると、硬銅線は97%前後になる。
ほかは正しい。(1) 20 ℃での導電率は、銀が最も高く、銅がそれに次ぐ(以下、金・アルミニウムの順)。(2) 導体の導電率は、20 ℃の標準軟銅の導電率を100%とした百分率(%IACS)で表す。(3) 電線に使う銅は、電気分解で精製した純度の高い電気銅をさらに精製・加工したもの。(5) 曲げて使うCVケーブルの導体には柔らかい軟銅線、張力に耐える必要がある架空送電線には引張強さの大きい硬銅線が使われる。
正解は(4)。
落とし穴は、「柔らかい=性能が落ちる」と思い込むこと。焼きなましは強さと引き換えに、可とう性と導電率の両方を上げる。
選択肢ごとの理由
- (1)正しい記述。20 ℃での導電率は銀が最も高く、銅がその次。
- (2)正しい記述。導電率は20 ℃の標準軟銅を100%とした百分率(%IACS)で表す。
- (3)正しい記述。電線用の銅は、電気分解で精製した高純度の電気銅を原料とする。
- (4)これが誤り。焼きなました軟銅線は、可とう性がよくなるとともに導電率も高くなる(硬銅線は約97%)。
- (5)正しい記述。CVケーブルは曲げやすい軟銅線、架空送電線は引張強さの大きい硬銅線を使う。
この論点は、データセンターの現場でこう出てくる
データセンターの電気設備は、銅の使い方の見本市のような場所である。幹線のCVケーブル、UPSや配電盤の内部の銅バー(ブスバー)、サーバラックに電気を配る電源ケーブル、そして接地線。どれも銅だが、使う場所によって性質を選んでいる。 ケーブルラックの上を何度も曲げて引き回す幹線のCVケーブルには、(5)のとおり柔らかい軟銅線をより合わせた導体が使われる。曲げ半径を守らずに無理に曲げると導体や絶縁体が傷むので、施工時には「ケーブル外径の何倍」という許容曲げ半径を確かめる。一方、配電盤のブスバーは形を保つ必要があるので、より硬い銅材を使う。 コストの話も避けて通れない。大規模DCでは幹線の銅の量が膨大で、銅価格が上がると建設費に直接響く。そこで導電率が銅の約6割のアルミ導体のケーブルやバスダクトを採用する例もある。同じ電流を流すには断面積を1.6倍ほどに太くする必要があり、端子の接続部で銅と異なる扱いが要る。導電率を%IACSで比べるこの問題の考え方が、材料選定の物差しになっている。
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