令和6年度 下期 電力 問6

調相設備(電力用コンデンサ・分路リアクトル・同期調相機・SVC)による無効電力と電圧の調整

電力A問題配点 5点
令和6年度 下期 電力 問6 の問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 令和6年度 下期 第三種電気主任技術者試験 電力科目 問題(問題文・選択肢は改変せず、公開PDFの該当ページをそのまま掲載しています)

解説

電力系統の電圧は、無効電力の流れで大きく変わる。調相設備はその無効電力を出し入れして、受電端の電圧を一定に保つための設備である。

調相設備は負荷と並列に接続する(ア=並列)。負荷と並べてつなぎ、そこへ流れ込む無効電力を足したり引いたりする。

電力用コンデンサは進み電流を流すので、負荷の遅れ電流を打ち消して力率を進める(イ=進める)。重負荷で電圧が下がるときに入れる。分路リアクトルは遅れ電流を流すので、力率を遅らせる(ウ=遅らせる)。軽負荷でケーブルの充電電流などにより電圧が上がるときに入れる。

同期調相機は、負荷をつながずに回す同期電動機で、界磁電流を加減すると、過励磁で進みの無効電力、不足励磁で遅れの無効電力を連続的に出せる(エ=界磁電流)。

静止形無効電力補償装置(SVC)は、サイリスタなどの半導体スイッチでリアクトルに流れる電流を制御し、無効電力を高速に調整する(オ=半導体スイッチ)。

正解は(1)。

落とし穴は、同期調相機で「電機子電流」を選ぶこと。電機子電流は結果として変わるもので、運転員が直接操作するのは界磁電流のほう。V曲線(界磁電流と電機子電流の関係)を思い出すとよい。

選択肢ごとの理由

  • (1)正しい。並列・進める・遅らせる・界磁電流・半導体スイッチ。
  • (2)調相設備は直列ではなく並列に接続する。コンデンサは力率を進め、リアクトルは遅らせる(逆になっている)。同期調相機で加減するのは界磁電流。
  • (3)(ア)の並列と(オ)は正しいが、コンデンサとリアクトルの働きが逆で、同期調相機で加減するのは界磁電流。
  • (4)調相設備は並列に接続する。また同期調相機で加減するのは界磁電流、SVCでリアクトル電流を制御するのは半導体スイッチ(整流装置ではない)。
  • (5)コンデンサは力率を進め、分路リアクトルは遅らせる。(イ)(ウ)が逆になっている。

この論点は、データセンターの現場でこう出てくる

データセンターの受変電設備にも、この問題の調相設備が小さな形で入っている。高圧受電設備には進相コンデンサが付いており、変圧器や空調のモータの遅れ電流を打ち消して力率を上げている。電力会社との契約では力率が85%を上回ると基本料金が割り引かれるので、進相コンデンサは電気代に直接効く設備である。 ただしDCでは事情が少し変わる。最近のサーバ電源やUPSには力率改善回路(PFC)が入っていて、負荷そのものの力率がほぼ1に近い。そこへ昔の設計どおりの容量の進相コンデンサを入れたままにすると、特に夜間やサーバの入る前の軽負荷のときに進み力率になり、受電電圧が上がる。電力会社から「進相コンデンサを軽負荷時に切り離してほしい」と求められるのはこのためで、自動力率調整装置で台数を入り切りしたり、場合によっては分路リアクトルを入れたりする。 (エ)の同期調相機と同じ原理は、非常用の同期発電機でも見られる。界磁電流を加減すると発電機が出す無効電力が変わるので、発電機運転中の力率と電圧はAVRが界磁を調整して保っている。

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