令和6年度 下期 電力 問3

衝動タービンと反動タービンの違い(ノズル・羽根での圧力変化と、適する蒸気圧力)

電力A問題配点 5点
令和6年度 下期 電力 問3 の問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 令和6年度 下期 第三種電気主任技術者試験 電力科目 問題(問題文・選択肢は改変せず、公開PDFの該当ページをそのまま掲載しています)

解説

衝動タービンと反動タービンの違いは、「蒸気がどこで膨張するか(圧力が下がるか)」の一点に尽きる。

衝動タービンでは、膨張はノズルの中だけで起きる。ノズルを通る間に蒸気の圧力が降下し、その分だけ速度が上がって噴き出す(ア=降下)。この高速の蒸気を羽根に当て、衝撃力で回す。羽根の通路は断面積が一様なので、羽根の中では膨張せず、羽根の入口と出口の蒸気の圧力は等しい(イ=等しい)。少ない段数で大きな圧力差を処理できるので、高圧の部分に適する(ウ=高圧)。

反動タービンでは、固定羽根だけでなく回転羽根(ランナ)の中でも蒸気を膨張させ(エ=膨張)、蒸気が羽根を離れるときの反動力も使って回す。羽根の前後で圧力差があるので、蒸気が羽根の隙間から漏れやすく、圧力が高いほど漏れの損失が大きい。このため中低圧の部分に適する(オ=中低圧)。

大型の蒸気タービンでは、高圧の入口側に衝動段を置き、後段に反動段を並べる組み合わせがよく使われる。

正解は(5)。

落とし穴は、(エ)に「凝縮」を入れてしまうこと。凝縮は蒸気が水に戻る現象で、タービンを出たあとの復水器で起きる。羽根の中で起きるのは膨張である。

選択肢ごとの理由

  • (1)ノズルで圧力は「上昇」ではなく降下する。圧力を速度に変えるのがノズルの役目。
  • (2)ノズルで圧力は降下する。羽根の出入口の圧力は衝動タービンでは等しく、(エ)の凝縮は復水器で起きる現象。(ウ)(オ)の高圧・中低圧も逆。
  • (3)ノズルで圧力は降下する。また衝動タービンが高圧向き、反動タービンが中低圧向きで、(ウ)(オ)が逆。
  • (4)(ア)の降下は正しいが、衝動タービンの羽根の出入口の圧力は等しい。(エ)はランナ内部での膨張、(ウ)(オ)も逆になっている。
  • (5)正しい。ノズルで圧力降下・羽根の出入口で圧力は等しい・高圧向き、反動タービンはランナ内で膨張・中低圧向き。

この論点は、データセンターの現場でこう出てくる

データセンターで「圧力と速度の変換」を毎日やっている機械がある。大型DCの冷水をつくるターボ冷凍機(遠心冷凍機)の圧縮機で、これはタービンを逆向きに使ったものと考えてよい。 タービンはノズルで圧力を速度に変え、その勢いで羽根車を回す。ターボ圧縮機は反対に、モータで高速回転する羽根車(インペラ)で冷媒に速度を与え、その後ろのディフューザで速度を圧力に戻す。どちらも「流体のエネルギーを、圧力と速度のあいだで変換する」機械で、羽根の中で圧力が変わるか変わらないかという、この問題の見方がそのまま通用する。数百〜数千冷凍トン級の大容量の冷却を、少ない台数でまかなえるのがターボ冷凍機の強みである。 発電の面でも関係がある。DCの非常用発電機は多くがディーゼルエンジンだが、冷却水が不要で起動の信頼性が高いガスタービン発電機を選ぶDCもある。ディーゼル発電機でも、排気で回すタービンで吸気を押し込むターボチャージャが付いている。発電機の仕様書で「ガスタービン」「過給機」という言葉を見たとき、中で何が起きているかを想像できるのはこの知識があってこそ。

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