令和6年度 下期 電力 問9
高低圧配電系統の保護(6.6 kV非接地方式・地絡方向継電器・高圧カットアウト)

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 令和6年度 下期 第三種電気主任技術者試験 電力科目 問題(問題文・選択肢は改変せず、公開PDFの該当ページをそのまま掲載しています)
解説
日本の6.6 kV高圧配電線の保護の考え方を、順に埋めていく問題。
6.6 kV配電線は、60 kV以上の送電線に比べて絶縁が容易なので、地絡時に健全相の電圧が上がっても問題になりにくい。そこで1線地絡電流を小さくするため(ア=小さく)、中性点を接地しない非接地方式が採用されている(イ=非接地)。地絡電流が小さいと、通信線への誘導障害や、地絡点での危険が抑えられる。
非接地方式では、地絡電流は電線と大地のあいだの静電容量(対地静電容量)を通って流れる。多回線の配電線では、故障した回線では零相電流が母線から線路の側へ流れ、健全な回線では線路の充電電流が逆向きに母線側へ流れる。つまり故障回線と健全回線で地絡電流が逆位相になる(ウ=逆位相)。地絡方向継電器は、零相電圧を基準にこの向きの違いを見て故障回線だけを選んで切る。
低圧配電線の短絡に対しては、柱上変圧器の一次側(高圧側)に取り付けた高圧カットアウトのヒューズが溶断して保護する(エ=高圧カットアウト、オ=一次)。
正解は(4)。
落とし穴は(エ)(オ)で「ケッチヒューズ」を選ぶこと。ケッチヒューズは低圧配電線から各家庭へ引き込む線の分岐点に入れるもので、柱上変圧器には付かない。
選択肢ごとの理由
- (1)(ウ)が違う。故障回線と健全回線の地絡電流は逆位相で、これを使って故障回線を選ぶ。高圧カットアウトは柱上変圧器の一次側に付く。
- (2)6.6 kV配電線は地絡電流を小さくするための非接地方式。地絡電流を大きくする・接地方式はどちらも逆。ケッチヒューズは柱上変圧器には付かない。
- (3)非接地方式は1線地絡電流を小さくするためのもの。また高圧カットアウトは柱上変圧器の一次側に付く。
- (4)正しい。小さく・非接地・逆位相・高圧カットアウト・一次。
- (5)6.6 kV配電線は接地方式ではなく非接地方式。地絡電流は逆位相になり、柱上変圧器の一次側に付くのは高圧カットアウト。
この論点は、データセンターの現場でこう出てくる
この問題の内容は、6.6 kVで受電するデータセンターの受電設備の設計そのものである。DCは電力会社の非接地方式の配電線から受電するので、構内で地絡が起きたときに、それを素早く切り離して電力会社の配電線に波及させないことが求められる。そのために受電点の区分開閉器(PAS・UGS)には地絡継電器が組み込まれている。 DCで特に重要なのは、(ウ)の「逆位相」の話。DCの構内には高圧ケーブルが長く敷かれていて、対地静電容量が大きい。すると電力会社の配電線のどこか別の場所で地絡が起きたときにも、自分の構内ケーブルから充電電流が地絡点へ流れ出す。単純な地絡継電器だとこれを自分の構内の地絡と勘違いして動作し、関係のない停電を起こす。これを「もらい事故」と呼ぶ。地絡方向継電器(DGR)は電流の向きを見るので、外の地絡では動かず、構内の地絡だけで動作する。構内ケーブルの長いDCでDGRが標準になっているのはこのためである。 DCの年次点検では、この継電器が設定どおりの電流と時間で動作するかを試験器で確かめる。電力会社の配電線の保護と協調がとれているかを確かめる作業で、主任技術者の重要な仕事の一つ。
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