令和6年度 下期 機械 問16
降圧チョッパのスイッチオン・オフ時の電流経路と、負荷電流の平均値


出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 令和6年度 下期 第三種電気主任技術者試験 機械科目 問題(問題文・選択肢は改変せず、公開PDFの該当ページをそのまま掲載しています)
解説
**(a) 時刻 t₁・t₂ の電流経路**
図2の vD はダイオードにかかる電圧。
時刻 t₁ では vD = E。スイッチSがオンで、電源の電圧がそのままダイオードの両端にかかっている(ダイオードは逆バイアスで電流は流れない)。電流は「電源 → S → L → R → 電源」と流れ、i_R が増えている。これは**電流経路(A)**。
時刻 t₂ では vD = 0。Sがオフになり電源から電流が来なくなるが、リアクトルLは電流を流し続けようとするので、ダイオードDが導通して「L → R → D → L」と電流が回る(還流)。i_R は減っている。これは**電流経路(B)**。
電流経路(C)は、電源がSを通ってダイオードを短絡する形で、降圧チョッパの通常の動作では起きない(電源短絡になる)。
(A)(B) の組合せは(5)。正解は(5)。
**(b) 負荷電流の平均値**
降圧チョッパの出力電圧の平均値は、通流率(デューティ比)D を使って V_R = D × E = 0.5 × 100 = 50 V
リアクトルLの平均電圧はゼロ(定常状態では1周期で電流が元に戻るため)なので、vD の平均がそのまま抵抗Rにかかる。リプルが十分小さいので I_R = V_R / R = 50 / 2 = 25.0 A
正解は(2)。
落とし穴は、平均値と実効値の取り違え。vD の実効値は E√D ≈ 70.7 V だが、Lを通した後の直流成分を決めるのは平均値。
選択肢ごとの理由
- (1)(a)は t₁ を経路(C)としている。(C)は電源短絡の形で、通常の動作では流れない。(b)17.7 は 70.7 V(実効値)を2 Ωで割ってさらに半分にした値。
- (2)(a)は t₂ を経路(C)としている。Sオフ時はダイオードで還流する(B)。(b)は正しい。平均電圧 0.5 × 100 = 50 V、50/2 = 25.0 A。
- (3)(a)は t₁ と t₂ が逆。vD = E の時刻はSオンで(A)。(b)35.4 は vD の実効値 100√0.5 ≈ 70.7 V を2 Ωで割った値。
- (4)(a)は t₁ を(B)、t₂ を(C)としており両方誤り。(b)50.1 は通流率を掛け忘れ、100/2 とした値に近い。
- (5)(a)は正しい。t₁ はSオンの経路(A)、t₂ はダイオード還流の経路(B)。(b)70.7 は vD の実効値で、電流ではない。
この論点は、データセンターの現場でこう出てくる
降圧チョッパは、データセンターのサーバの中で最もたくさん動いている電力変換回路。 サーバの電源装置(PSU)は交流を12 Vや48 Vの直流にし、マザーボード上ではさらに降圧チョッパ(POL:Point of Load コンバータ、VRM)がCPUやメモリが必要とする1 V前後の電圧を作る。CPUのそばに並ぶ小さなコイル(L)と、その横のMOSFET(S)がこの問題の図1そのもので、通流率を変えて出力電圧を調整している。CPUの負荷が数マイクロ秒で大きく変わっても電圧を保つため、何相も並列にして交互にスイッチングする多相構成になっている。 48 V直流給電を採用するDCでは、ラックに配る電圧を上げて配線の損失を減らし、ボード上で大きな降圧をする。この降圧段の効率がそのままサーバの電力効率に効くので、通流率と平均電圧の関係、還流ダイオード(いまは同期整流のMOSFET)の損失は、サーバ設計の中心的な話題になっている。
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