令和6年度 下期 機械 問8
単巻変圧器の分路巻線・直列巻線・負荷容量と、漏れ磁束・電圧変動率

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 令和6年度 下期 第三種電気主任技術者試験 機械科目 問題(問題文・選択肢は改変せず、公開PDFの該当ページをそのまま掲載しています)
解説
単巻変圧器は巻線の一部を一次と二次で共用する変圧器。用語と、共用することによる利点を押さえる。
**(ア) 分路巻線、(イ) 直列巻線** 一次と二次に共通な部分を**分路巻線**、共通でない部分を**直列巻線**と呼ぶ。分路巻線の端子を一次側に、直列巻線の端子(分路巻線の端から直列につながる先)を二次側につなぐと、昇圧の変圧器として動く。
**(ウ) 負荷容量** 二次端子電圧と二次電流の積は、変圧器が負荷に送る電力なので**負荷容量**(線路容量)と呼ぶ。これに対し、巻線そのものが受け持つ容量(直列巻線の電圧×電流)は**自己容量**といい、負荷容量よりずっと小さい。これが単巻変圧器が小形・安価になる理由。
**(エ) 少なく、(オ) 小さい** 巻線を共用するので一次と二次の結合が強く、漏れ磁束が**少なく**なる。漏れリアクタンスが小さいので、負荷が変わったときの電圧変動率も**小さい**。
以上より正解は(3)。
一方で、漏れインピーダンスが小さいことは「短絡電流が大きくなる」という欠点の裏返しでもある。一次と二次が電気的につながっているので、絶縁の面でも注意が要る。
選択肢ごとの理由
- (1)(エ)の多くが誤り。巻線を共用するので一次と二次の結合が強く、漏れ磁束は少ない。
- (2)(ア)(イ)が逆で、(ウ)の自己容量も誤り。二次電圧×二次電流は負荷容量。自己容量は直列巻線が受け持つ分で、それより小さい。
- (3)正しい。分路巻線/直列巻線/負荷容量/少なく/小さい の組合せ。
- (4)(ウ)の定格容量と、(エ)(オ)の多く・大きいが誤り。単巻変圧器は漏れ磁束が少なく電圧変動率が小さい。
- (5)(ア)(イ)が逆で、(ウ)の定格容量、(エ)(オ)の多く・大きいも誤り。
この論点は、データセンターの現場でこう出てくる
単巻変圧器は、データセンターで「電圧を少しだけ変えたい」場面に出てくる。 海外製のサーバやストレージ、空調機には 200 V 系と 400 V 系、あるいは 208 V・230 V など国内と違う定格のものがある。電圧比が1に近い変換では、単巻変圧器を使うと自己容量が小さくて済むので、普通の二巻線変圧器より小さく、軽く、損失も少なくできる。ラック単位で電圧を合わせる昇圧トランスや、電圧調整器(スライダック)も単巻変圧器の仲間。 ただし一次と二次が絶縁されていないので、一次側の地絡や異常電圧がそのまま二次側の機器に伝わる。DCで絶縁が必要な箇所(接地系統を分けたい、ノイズを遮断したい)では、あえて二巻線の絶縁変圧器を選ぶ。「小さくて効率が良い」と「絶縁されていない」の両面をセットで判断できることが、設計や機器選定で求められる。
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